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先週土曜日、オーディションというやつを受けてきました。
神戸バッハの演奏会を開いた、神戸松蔭女子学院大学のチャペルで、12月17日に開催される、「グロリアを歌おう」と題したクリスマス・チャリティー・コンサートの出演者を、コーラスもオーケストラも、受講者を公募して行う、公開講座です。指揮者兼講師として、大塚直哉さんの指導を受けられるので、神戸バッハからオケ、コーラスそれぞれ数人ずつ参加しようということになり、そのオーディションを受けることになったものです。
b0040245_23583496.jpgヴィヴァルディの「グロリア」というのは、11曲のコーラスやソロ曲からなっており、そのうち2曲の前半部分を、大塚さんほか数人の指導者のみなさんの前で、一人で弾かなければなりません。みなさん顔なじみの人ばかりですが、オーディションを受ける側に立つと、その距離感の取り方が難しく、けっこう緊張してしまいました。しかも、ヴィヴァルディの曲は、バッハに較べると単純で、中でも課題に取り上げられた曲は、特に単調だったので、技術的にはやさしくても、音楽的には却って難しく、なんとなく音を出しただけで終わってしまいました。
終わった後の講評でもその点を指摘されて、ごめんなさいでした。初めから落とされないことは分かってたのですが、結果発表の後、指揮者の大塚さんから話があり、今後スコアを手に入れて、歌詞を自分のパート譜に書き込み、歌詞の意味に合わせて弾き方(音の強弱、長短など)を。自分なりに考えて来なさい、ということでした。バッハのカンタータの練習で、いつも言われてることと同じなんですが、バッハに較べてちょっと面白味に欠けるかな、と思っていたヴィヴァルディの練習が、一挙に興味深いものになりました。神戸バッハも次回に向けた練習が始まるし、この秋も充実した時間を過ごせそうです。
by shoeenoki | 2006-09-25 23:58 | 音楽
昨日9日、我が神戸バッハ・カンタータ・アンサンブルの演奏会が開かれました。
本番に先立って金曜日の午後から、本番会場の松蔭女子学院大学チャペルで、午後はソロ合わせ、夕方から全体合奏の練習をしました。
バッハの教会カンタータは、コーラス、オケ全員が参加する合唱曲と、独唱や2重唱などのソロ曲が5、6曲で、一つのカンタータを構成しています。なので、コーラスは合唱が歌える人だけでなく、ソロが歌える技量の人も必要なわけです。これはオーケストラも同じで、ソロや2重奏が随所に出てきます。そして、この時代の音楽が、後のモーツァルトやベートーベンの音楽と一番違うのは、通奏低音の存在です。これは、ジャズのリズムセクションを思い浮かべてもらえば分かりやすいと思いますが、チェロ、コントラバス、ファゴットといった低音楽器と、オルガンやチェンバロの鍵盤楽器の左手が、一つのベースラインを奏で、鍵盤の右手が和声を付けるもので、バッハの音楽、特にカンタータでは、演奏全体に大きな影響力を持つ、重要なセクションなのです。
そして今回、指揮者の大塚直哉さんの意向で、コンサート・ミストレスの大西律子さんとともに、チェロの高橋弘治さんをお招きしていました。高橋さんは、少しでも古楽に興味のある人なら誰でも知っている、あの、La Petite Bandeで、鈴木秀美さんの後を受けてずっと弾いてきた方で、この1日にベルギーから帰ったばかりで、この日初めて我々に合流してもらえたものです。
そしてその高橋さんのチェロがすごいものでした。世界のトップクラスのオケで弾いてこられた経験は、さすがです。私も、3曲中1曲はトップで弾いたのですが、ある曲を弾くのに、一音一音付きっきりで、その意味や上に乗っている和声、歌詞などと関連づけて、弾き方を指導してもらいました。これまでいかにいい加減に弾いてきたか。通奏低音の奥の深さを思い知りました。こんなすごい人をサイドに控えさせてトップを弾けたなんて、最高の贅沢です。

一夜明けて土曜日の朝11時からゲネプロで、通し練習。併せて出入りの要領やコーラスの立ち座りなど打ち合わせて、1時半頃ゲネプロ終了。3時の開演を待つばかりになりました。我々が休憩している間にも、指揮者の大塚さんは、オルガンやチェンバロの再調律で、開演30分前の開場時刻まで休む間もありません。もちろん、前日も当日も練習の前には調律をしています。ほとほと頭が下がります。
私も、開場前に受け付けの打ち合わせや、久々に聞きにきてくれた人と立ち話などしているうちに、開演です。全員が位置に付いて、大塚さんが入場、拍手に応えたあとこちらに向き直り、一曲目カンタータ131番の最初の音が鳴り響きました。わくわくしながら夢中になって弾き終わったのですが、拍手に応える大塚さんが、ソリストを紹介して、彼らに拍手を受けさせるはずが、その前に袖に引っ込んでしまいました。ここで大塚さんが、けっこう上がり症なんだという意外な面を露呈してしまったわけです。そしてそれを引きずったまま二曲目の17番に突入したためか、異常に早いテンポで始まってしまいました。みんな必死で付いていきます。私も必死ですが、悪いことに、前日に高橋さんが来られて、ボウイング(弓使い)がかなり変わったのですが、それに慣れる時間がないところに早いテンポで、表現するところまで行けずじまいでした。そんなことで、完全に満足ということなく前半が終わりました。
休憩時間には、以前のメンバーたちがけっこう聞きにきてくれてたので、彼らと話しているうち、あっという間に後半開始です。後半は、私がトップに座る187番です。これは、十分落ち着いていて、思うように弾けました。オケの他のメンバーや、コーラスもすごく良かったと思います。終わり良ければ全て良し、というわけでもないですが、充足感を覚えながら本番を終えることができました。
終わってからも、聞いてくれた人たちの感想は、以前とは比べものにならないぐらいうまくなってる、とかまた歌いに来たくなった、とか好意的なものが殆どでした。前半の曲についても、練習の成果が100パーセント発揮できなかったというだけで、従来の演奏レベルよりは、確実に上だったと思います。演奏会は大成功だったと言えるでしょう。打ち上げが盛り上がったのは、言うまでもありません。
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思えば、前の指揮者が突然辞めてしまったのが、ちょうど一年前。それから苦労の末、大塚直哉さんという、現在考えられる最高の指揮者を迎えることができ、そのすばらしい人柄と指導力に、みんなが魅了されて、必死で付いてきた末に迎えた昨日の本番でした。改めて、バッハをやり続けて良かったと思います。この年でこんなにわくわくできるなんて、私は幸せ者です。

☆写真は松蔭チャペルの、有名なガルニエの大オルガン。我々の演奏会では、ポジティフという小型のオルガンを使うので、この大オルガンは使っていません。
by shoeenoki | 2006-09-10 23:48 | 音楽